経営理念

経営品質から学ぶ卓越した業績を上げるためのちょっとしたコツ

1.理念、価値観をいかに共有するか

1番めのポイントは、理念・ビジョンです。これを全員で共有し、共感し、共鳴し、共振にまで持って行けるかということ。その度合いで組織の強さが決まります。でも大切なことは社内に徹底することだけではありません。それをどれだけお客様と共有できるかです。野球に例えると、監督がやりたい野球にどれだけ選手が共感しているかどうかが重要です。でもそれだけでは駄目です。その野球をお客様が見たいかどうかです。例えば、経営理念が利益追求であったとします。経営者と社員はそれでいいかもしれませんが、お客様から見たら、とても変な会社ということになります。何故なら、お客様からお金を吸い上げることを目的にしている会社ととらえられかねないからです。
経営理念で重要なことは、いかに社会に広くその理念が伝わり、共感を得られているかどうかです。そのため、お客様に理念を伝える努力がとても大切になってくるわけです。お客様が共鳴・共振して下されば社員の仕事は楽になりますしやる気も高まります。社員がやる気が高まらないと当然、生産性も落ちて、結果的に利益も生まれないという悪循環の流れになってしまいます。

2.社会的責任としての企業倫理と社会貢献

2番目のポイントは企業倫理、社会貢献です。企業倫理は正しいことを正しく行うということです。これは会社のためだけではありません。社員一人ひとりのためでもあるのです。そもそもお客様を騙して売って儲けても誰も嬉しくありません。ですから正しいことを正しく行うということは、清々とした気持ちで気持ちよく仕事ができるようにするためです。後ろめたい気持ちを引きずったまま仕事をして生産性が上がる人などいないということです。
社会貢献の社会とは実は、一緒に働いている人も私は含んでいると思っています。周囲の人をお互いに思いやるといった優しさもないような集団の風土はギスギスしてしまい、生産性など上がるはずはありません。人に優しくしたり、されたりしたら誰でも嬉しいと思います。本人が気持ちよくなれば自然と生産性は上がります。社会貢献を企業が大切に考える本質はそういうことだと思います。

3.お客様満足は社員満足のための特効薬

3番目のポイントはお客様の理解と対応の仕組み作りです。つまり顧客満足を高める仕組み作りです。お客様に「ありがとう」のお声を頂くと、社員のやる気は高まり、生産性が上がります。
私は以前、お客様満足のために死ぬ直前まで働けと言っていたことがあります。でもその間会社はずっと赤字でした。何故でしょうか?。お客様満足のために社員が疲れ果ててしまうからです。でもある時、お客様より社員が大切という方針に切り替えました。すると不思議なことに会社は黒字になったのです。売上より優しさだったのです。優しさが組織に溢れない限り絶対売上は伸びません。
堂々とこのように言い始めてから私の会社の社員たちはお客様を大切にしてくれるようになりました。
先ほども書きましたように、お客様満足と社員満足と独自能力、そして社会の満足はテーブルの四本足ですので、どれか一本でも欠ければテーブルは倒れてしまいます。したがって、全部が同時に成り立つことを常に考えないといけません。世間様にも喜んで頂き、売り手も買い手も喜ぶ。つまり近江商人が300年も前から行ってきた「三方よし」の経営です。これが永続的な繁栄の条件ではないでしょうか。

4.経営資源をどこに集中投下するかが戦略

4番めのポイントは戦略です。限られた経営資源である人、物、金、時間などをどこに使うべきか、集中すべきかを考えることこそ戦略の要です。儲かっても従業員に還元せず、自分専用の高級車などに会社のお金を使ってしまう経営者がいますが、これでは社員のやる気は高まるはずがありません。限られたお金は、お客様のため、社員のため、そして他社に差別化できるような独自能力の開発にこそ優先的に使われるべきです。そうすればお客様からたくさんのありがとうをいただき、胸を張って仕事できるようになった社員の生産性は自ずと上がります。

5.情報マネジメントの徹底で効率化をはかる

7番めの引き出し、すなわちカテゴリーのポイントは情報マネジメントについてです。これは簡単に言いますと、言った、言わない、聞いている、聞いていない、私だけは知らなかった、いつ決まったの、誰が決めたの、こういったことを組織の内外で徹底的に無くしていくということです。こういった非効率なことをなくしていくように情報の共有化と活用を進めていくと、やはり社員のやる気は自ずと高まるのです。

次ページ:自然の摂理に基づいた経営